松本楼について

●日比谷松本楼について 明治の文明開化とともに歩む、洋食文化の老舗です。 日比谷松本楼(ひびやまつもとろう)は、1903年(明治36年)に東京・日比谷公園の開園とともに誕生したしました。 日本の洋食文化を代表する老舗レストランです。 当時の日本は、文明開化の波の中にあり、日比谷公園は日本初の「西洋式近代都市公園」として整備されました。 その園内に初めて建てられた洋風レストランが日比谷松本楼です。 日比谷の中心に建てられた日比谷松本楼は、「洋食」という新しい食文化を一般市民に広める場として、大きな存在感を放ちました。 日比谷公園は「市民のための公園」として設計され、日比谷松本楼もまた「市民が気軽に西洋料理を楽しめる場所」として、都市文化と食の融合の場になりました。 ●多くの文化人に愛された店 開店当初から、政財界の要人、文豪や芸術家たちが足繁く通い、時代の知識人たちの交流の場としても知られてきました。 作家・芥川龍之介や永井荷風などが通ったともいわれています。 ●焼失と復活、そして現在へ   平和の象徴としての再出発 感謝のチャリティーイベント 1971年、松本楼は放火によって焼失するという大きな出来事を経験します。 しかし、多くの市民や文化人からの支援により、「平和の象徴として再建しよう」という運動が起こり、翌年には見事に復興。 その感謝の想いを込めて、毎年9月25日には「カレーチャリティーイベント」が開催されています。 これは、焼失からの復活を支えてくれた人々への恩返しとして、松本楼の伝統のカレーライスを寄付金(創業年数以上121年なら121円以上の寄付をお願いしています)で提供し、収益を福祉や災害支援に寄付するという松本楼の伝統行事です。 ●洋食の味を、未来へ   レトルトシリーズの展開 現在では、長年受け継がれてきたレストランの味を、より多くの人に届けるため、レトルト食品やギフト商品としての展開も行っています。 ビーフカレーやハヤシライス、ハンバーグやビーフシチュー、スープなど、どれも職人のこだわりと伝統のレシピをもとに丁寧に仕上げられており、『老舗の味をご家庭で楽しめる』と人気を集めています。 ●東京のパワースポット 首掛けイチョウと日比谷松本楼 1901年(明治34年)、現在の日比谷交差点付近にあった樹齢約400年のイチョウが、道路拡幅工事のため伐採されることになりました。この木を惜しんだ本多静六博士は、東京市参事会に対して「自分の首をかけても移植させてみせる」と強く主張し、伐採を中止させました。 当時、樹齢数百年の大木を移植する技術や機械はなく、運搬車両もない時代です。 本多静六博士は人力での移植を決断、約25日間かけて500メートル先の日比谷公園内、日比谷松本楼の前庭に、このイチョウを移植しました。 この逸話から、このイチョウは「首掛けイチョウ」と呼ばれるようになりました。 移植された首掛けイチョウは、樹齢約400年〜500年といわれ、江戸時代以前から東京に根を張っています。 関東大震災(1923年)、東京大空襲(1945年)、日比谷松本楼の火災(1971年)といった数々の災害を乗り越えてきました。 特に1971年の火災では、放火により日比谷松本楼が全焼、首掛けイチョウも黒焦げになりました。 しかし翌年の春には奇跡的に新芽を吹き、見事な新緑の葉を茂らせました。 現在も日比谷公園内でその雄姿を保ち続け、本多静六博士の情熱と行動力を伝えています、そして首掛けイチョウの生命力は、訪れる人々に力強さと希望を与える存在となっているのです。 「首掛けイチョウ」という名には、「首に願を掛ける=強い祈願の象徴」という意味が込められているとも言われています。 実際に、合格祈願、家族の健康、商売繁盛などを祈りに来る人も多くいらっしゃいます。 幹が一度は焼け焦げながらも翌年には新芽を吹いたという「不死鳥」のようなエピソードが、「再生」や「困難を乗り越える力」の象徴として語り継がれています。 イチョウの木は古くから「長寿の象徴」「火災を防ぐ木」として、寺社仏閣にもよく植えられています。 風水的にも、陰陽のバランスが良い木とされ、繁栄・安定・癒しなどのエネルギーを持つといわれています。 焼失からの復興、平和の願い、チャリティ文化といった日比谷松本楼の精神的な象徴としても文字通り並び立つ存在です。 お店の横に佇み、「見守りの木」「再起の木」として語り継がれている点も、スピリチュアルな魅力のひとつとなり、 今ではこの首掛けイチョウの木をパワースポットととして足を運ぶ多くの方々を見守り続けています。 ●受け継がれる想い 日比谷松本楼は、「味」だけでなく、「文化」や「記憶」、「平和の象徴としての精神」をも継承する存在として、東京の中心で静かに、そして確かな時を刻み続けています。 レストランに訪れる方も、レトルトで味わう方も、そこにあるのは「明治から続く洋食のやさしさと誠実さ」。 これからも松本楼は、“老舗洋食”という日本ならではの美味しさを、丁寧に未来へと伝えていきます。。